シンポジウムレポート

第1回テーマ 「電波オークションは導入すべきか」

デジタル時代のイノベーションを支える中核的な源泉資源である電波。本シンポジウムでは、希少な電波資源をどのように割り当て、管理していくのかについて、特に、欧米諸国では今や常識とされる電波オークション制度や、その日本への導入についての議論を行いました。

概要

開催日時:10月29日(木)18:00-20:00

パネリスト:
池田信夫氏 (上武大学大学院経営管理研究科教授、SBI大学院大学客員教授)
佐々木俊尚氏 (ジャーナリスト)
関口和一氏(日本経済新聞社編集委員兼論説委員)
國領二郎氏 (慶應義塾大学 総合政策学部長 )
中村伊知哉氏 (慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科 教授)
岸 博幸氏 (慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科 教授)

モデレーター:
金 正勲氏 (慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科 准教授)

司会:
折田明子氏(慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科 講師)

※議論はTwitterで要旨を中継。#gie2009 で検索可能。

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ディスカッション

■周波数オークションとホワイトスペース
■電波は誰のものか
■オークション導入と国際競争力強化
■電気通信モデルかインターネットモデルか
■大きな方向性をどう示し見せていくか

金氏:民主党新政権が誕生し、様々な制度改革案が出されている。情報政策に関してはどうなのか。第1回は電波オークションについて、キーパーソンと共に議論。冒頭で各パネリストから新政権に対する評価をいただき、その後ディスカッションを行う。

■周波数オークションとホワイトスペース

池田氏:あえて「周波数オークションとホワイトスペース」という名前をつけた。オークションは直近の課題で民主党も政策に掲げているが、それに劣らず重要なのがホワイトスペース。
周波数オークションは1959年にコースが提唱した。1980年代に、携帯電話向けにくじ引きを実施したが大混乱し、やむを得ずオークションを導入。1994年に99の免許のオークションを行い、これが大変な成功に終わった。国庫収入が上がり、競争を促した。それを受け2000年にヨーロッパで3Gオークションが行われたが、ITバブルの最盛期だったこともあり、携帯電話業者が軒並み破綻するという結果に終わった。昨年アメリカでは700MHz帯オークションが行われ、グーグルがオープン化4条件を要求した。アプリケーション、デバイス、サービス、ネットワークの開放のうち、デバイスの開放についてはFCCが飲んだ。
日本では、2011年に最大の電波の移行がある。欲しがられているのは、470〜700MHzで残り30チャネルが空いており、ここがホワイトスペース。問題のオークションの対象は710〜806MHz。米国並みであれば1兆円超が見込まれ、民主党の財政金融関係者は非常に興味を持っている。
ホワイトスペースについて。茨城県の電波の割り当てを見ていただいているが、トータルで6チャンネルしか使っておらず、残り34チャンネルが空いている。アメリカではこれを無料の免許不要帯域とした。日本でもこの議論が霞ヶ関の様々な場所で起きつつある。

佐々木氏:民主党の情報通信戦略については、現状ではよくわからない。内閣が出しているICT戦略はいったん棚上げになるか。総務省の情報通信法については、一応予定通り進みつつあるが、民主党がどこまで軌道修正をかけるか不明。FCCや電波オークションはやろうと言っているが、有識者専門調査会に丸投げ状態。議論の結果というよりプロセスそのものを政策に反映させる形を取るようだ。メンバーを従来の総務省の専門調査会ではない人間に一新したいとの意向が強く、i-Japan戦略2015は棚上げになるかもしれない。
個人的には、現状では、総務省が恣意的に電波を割り当てており、それが安いというのは池田さんと同様の意見。オークションをするかは留保付で考えるべきと思う。かつては電波を持っているということ自体が大きな源泉だった。この10年の間に劇的に状況が変わり、いまやインターネットのビジネスの世界では、通信インフラは儲からない。インフラがなくなったら困るが、上位レイヤーのGoogle, Amazonなどプラットフォームビジネスが儲かっている。その状況で、資金力だけで電波の取得を決めるのは果たして正しいかどうか。上位レイヤーと融合する形で新しいビジネスが生まれてくるとすれば、資金力の小さいベンチャーにも開放していくことが必要では。総務省の恣意的な割り当て、オークション、それ以外の第3の選択肢を考えるべきではないかと思う。

中村氏: 最近、絶対やらないと思っていたブログを始め、Twitterの発言も増やしている。
情報通信法について、例えば、夜中までフルに電波は使わないので、その時間はサイネージに使えませんかと言っても断られる。 今は、電波を持っているところが番組も考える。経営が危なくなったら電波はまとめてもらって上位は別に考える、というアイデアはあるが今のルールでは不可能。
総務省は、ホワイトスペースに関して積極的だった。 今の民主党政権の評価は、規制緩和と通信と放送の融合促進にブレーキが踏まれている印象。民間企業は全国各地で先取りする形でやっておりブレーキを踏んでいる状況ではない。福岡ユビキタス特区では、放送の電波にIPを乗せ、通信を放送に使っている。
そういった電波の受け皿として成長しているのが、デジタルサイネージ。1つの産業にしようと2年前にコンソを立ち上げ160社が参加している。通信も放送もフルIPにしようというIPDCフォーラムも。ハードソフトあわせて30社が加盟。
実はこの情報通信審議会の答申の中でも、電波の柔軟な使い方を考えていきましょう、転売したっていいじゃない、という趣旨のことが書いてある。オークションについては、トライアルでやってみたらと思う。オークションのメリットは割り当てが透明になる、電波の利用効率があがること。デメリットは欧米での事例を失敗とみるという意見だが、役所の中にも、それほど抵抗はない。抵抗があるとしたら入札する民間企業のほう。
ホワイトスペースについては、アメリカではバージニアで、ラスト1マイルのビジネスが始まっている。転売をどう設計するか、どこまで認めるのか、という制度設計が必要。電波利用料は特別財源だが、オークションはこことどう折り合いをつけるか、役所が一番抵抗するのはそこではないか。

岸氏:池田先生が論点を整理され、それに続くお二人がおっしゃった点に付け加えることはそれほどないが、郵政とは違いICT政策は、民主党でもドラスティックに変わる事はない。ただしスピード感や物事の順番は変わると思う。総務省は総務大臣の考えに沿って順番に対応していくことになるだろう。民主党のマニフェストの後ろに書いてあることが全部が達成されるわけではないだろう。原口大臣の発言から見ても、一番に電波オークションではないと思う。

自分自身は、オークションにもホワイトスペースにも理論的には賛成だが、現実に適用するには難しい問題がいろいろあると思う。電波は色々な人に割り振られており、既に電波を持っている人と、これからオークションに参加する人が同じサービスをする場合、後者のほうがコストが高く、同じ競争条件ではない。政府がどのように競争政策に介入するかを整理する必要がある。
あとは、財政の点から取り上げるのは本末転倒。池田さんから1兆円と数字が出たが消費税は1%あげると2.5兆円になる。埋蔵金感覚でこの問題を扱うと制度設計で大きなミステイクを起こす。

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■電波は誰のものか

関口氏:そもそも電波は誰のものか。国民のものだと思うが、誰が権限をもって運用することができるのか。私個人はオークションが良いか悪いかではなく、電波が有効に活用されているか否かを問いたい。
固定から無線へという流れがある。固定は線を引けば無限だが電波は有限。効率的に上手に使うことが大事だが、日本では恣意的に割り当てられている。不公平感と、電波料はどこに行くのかという点が問題になる。
仮にオークションをやるとしてその方法が問題。欧州での失敗がよく挙げられるが、アメリカと欧州では方法が異なる。欧州では、たとえば3Gを使う事業者は欧州全域がほしいが、実際には各国ごとに行われた。最初に取った地域の隣も取らないと投資は回収できない。その連鎖が、ITバブル崩壊の原因の1つとなった。
無駄な利用者をオークションなら、転売という形で追い出せるのか。総務省としては一方で電波料があり、これは国庫に入らず総務省に入る。有効に情報技術の発展に使えるなら良いが、全く異なる事業体に使われるのは好ましくない。どちらが適切なのか。
98年以来の流れは、電波をデジタル化で圧縮して半分にして使いましょう、というもの。電波資源のデジタル化は放送のみで、警察や河川等は放置されたまま。このデジタル化でもっと多くを民間に提供することが可能。電波の効率利用というそもそも論を考えるべき。

國領氏:今日の主催者はPFラボ。私はありとあらゆるものを世の中に出すのを後押しすることが仕事で、色々なことをやっている。こういう議論すべきタイミングとしては、この秋がいいだろうという予想のもとに、刺激的で尖った形のものをやりたいと金先生に準備いただいた。ただ、民主党政権になってから、方法の話が先に立ってしまっている。電波オークション、NTT、FCCなどは、一体何のために行い、今目指すべきものは何なのかの意識あわせをしていくことが大事だと思っている。
電波の話において、求めているのは効率性ではなく、大事なのは創造性のところではないか。このシンポもTwitterでブロードキャスト状態。あっという間に立ち上がる新しい試みにチャンスをどう与えるのか。効率性を多少犠牲にしても、柔軟性と創造性を与えたいと思う。また、国家の収入を最大化させること自体を目的化するのは問題かもしれない。しかしこの時代には大事かもしれない。
民主党の情報通信政策のビジョンが見えず、日本版FCC等の手段ばかりが先走っている。 密室で決めているのか、情報量が多すぎて何も決まらないのか、混沌とした状況にある。より大きな文脈で考えると、国の政策や資源配分を誰がどのように決定していくべきなのかのプロセス論。透明性があるオープンな意思決定のプロセスを年頭に次のフェイズに向けた大学側からの新しい提案として議論を立ち上げたという狙いもある。
これまではレイヤー3に競争を入れるという事で政策が作られてきた。果たして今後もそれでいいのか。電波が中心になれば変わらざるを得ない。

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■オークション導入と国際競争力強化

金氏:ここからがディスカッション。日本でオークションを導入した際、それが本当に日本の電波産業の国際競争力強化に繋がる制度改革となるのだろうか。

池田氏:オークションをどうやるかに依存する。日本では730-770MHzの40MHzしか対象にならず細切れでは意味がない。役所が割り当てると仲良く4社でとなり、自由にサービスが作れない。やるならもっと大きな帯域で。ITSは本当に必要なのか。安倍政権のときに無理やりいれたものが残ってしまっている。700MHzのいちばんいいところになぜ入ってくるのか。FPUは誰も知らない。

関口氏:基本的に私はオークションでも電波料でもかまわないが、速やかに電波を割り当てられる仕組みが必要。日本では新規サービスを出せない。地域事業者が新しい電波を使って自由にやれることが大事。新規事業育成、新サービス育成という面では、ホワイトスペースの有効活用や電波割り当ての柔軟化といった政策を進めるべき。

岸氏:ITSを例にすると、割り振れば競争的ないいサービスは出てくるのか。車もカーナビなどのソフトがバラバラ。このまま周波数を使わせたら、自動車メーカー毎のつまらないサービスが提供されるだけではないか。新しいサービスという視点はあるが、電波以外の部分もしっかりやらないと、かえってお金がかかる。規制緩和だけでなく産業政策的観点も加味する必要がある。新規産業育成という意味では、オークションだけでは駄目だと思う。オークションで得た財源をICTの技術開発に使うという議論もあったが、これは特定財源化してしまうので問題がある。

中村氏:オークションにすれば利用効率は上がる。この部分はITSでないと駄目という割り当て自体が破綻している。利用目的の緩和もしていかないと産業発展には結びつかない。オークションの最大の問題は誰が望むのかということ。嫌だという業界は存在する。実現してほしいという人は誰で、どの程度のリスクとコストを負う覚悟があるのか。望む人が出てきた時に、初めて動き始める。

國領氏:オークションの設計について経験則だけでなく理論が欲しい。欧州の失敗が頭にこびりついている人が多いが成功例もあるだろう。池田さんに解説してほしい。

池田氏:競争を促進するという意味では、条件を厳しくすれば値段は安くなる。事業者からは1兆円は大き過ぎるという声もある。ベンチャー枠のブロックを作ることもできる。だが米国では混乱した。設計は恣意的にならないようにすべき。物理層だけを割り当て、上はMVNOへの開放を義務付ける。用途の自由化・開放を義務付ければ、値段が下がるしイノベーションも促進されるだろう。

関口氏:問題はオークションの公平性・公正性。恣意性がなく密室で決まらないこと。また悪い人の手に渡っては困る。外資の扱いをどうするのかも論点。オークションのやり方を真剣に考えなければならない

佐々木氏:有限な資源の公正利用だけでいいのか。電波は有限だが立ち上がるビジネスは無限。最終的に電波の話も有効活用ではなく、電波をインフラにして、どのようなレイヤーモデル、プラットフォームが立ち上がるかを考える必要がある。

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■電気通信モデルかインターネットモデルか

金氏:電気通信モデルを採用するのか、インターネットモデルを採用するのかで全く異なるという話だろうか。

佐々木氏:2011年以降の、ブロードキャストとインターネットの融合モデルの話。垂直統合的なモデルという可能性を議論しなくていいのか。

池田氏:垂直統合を否定してはいない。他を排除してはいけないというルールを作ろうと思っている。金のあるやつが電波を取るのはアンフェアだという議論は必ず出るが、これはホワイトスペースと一緒に考えるべき。ホワイトスペースは200MHzあり、これを有効利用すれば100Mbps出るインフラになる。オークションになんて金がつかなくなる。
最終的には皆が自由に使えるのが理想の姿。ホワイトスペースの技術開発はまだ進行中であり、IEEEでどうするかという大論争が続いている。この世界的な標準化ワーキンググループに日本人がほとんどいないのが問題。

金氏:オークションを日本で導入した時に新規参入者が登場するのか。現状は電波を政府が割り当て、電波利用料というものがある。一方で、ボーダフォンとソフトバンクのように実質的に電波の売買がなされている。

池田氏:米国では超競争的ムードがあったためオークションをやらざるを得なかった。日本では何も起こらないことを恐れている。また、実質的に第二市場は存在している。ドコモは地方のポケベル会社を買収している。闇の市場があるとすれば、公式のものにするべきでは。恐れているのは、誰もオークションに参加しないこと。

関口氏:第二市場は必要悪として、オークションをやるのだとしたら、悪意を持った事業者を排除する仕組みが必要では。やりたい人を全部募ってできれば良いが、第二市場を認めてしまうと、そうでない人に権利がいってしまうことを危惧する。

國領氏:関口さんの最後の論点が本質的なところ。事後的な調整や介入が前提になっている。所有権ではなくライセンスの話だから年限や条件が付く。だが、所有権のように、いったん居座ったら居座り続けるように錯覚されていた。これを仕切りなおさなければ。

池田氏:錯覚している人は多い。放送事業者が錯覚していて原口大臣はその影響を受けているのだろう。放送局が持っている電波をオークションにかけることはない。

関口氏:歴史的な経緯を考えたい。同じ資源をどう使ったら有効活用できるのか。アメリカではキー局、ネットワーク業界を押さえ、CATVを育成した。エアを空けようと放送をケーブルにしデジタル化する。PCSという今日の携帯に繋がる基本的な考え方を作っていた。そのタイミングで日本も論議した。その後IPが普及し、ケーブルを使って放送を流せるようになった。アメリカはケーブルと衛星で困っていない。日本は大半が電波を使って見ている。

池田氏:そこまで開放する必要はないと思う。

中村氏:池田さんが、オークションをやる際はホワイトルームとセットだと言っていたがそちらの方が大事だろう。

佐々木氏:テレビは難しい局面にきている。有料制度は可能なのか。オンデマンドが成功していないのは日本ぐらい。モデルケースが国内に存在していない。日本のテレビビジネス、地上波をつかった広告ビジネスが崩壊したら、そのあとどういうビジネスが立ち上がるのか。そこがノーアイデア。収益力がなくても参入できるモデルをつくらないと、動画コンテンツビジネスも盛り上がらない。

池田氏:その点で怖いのはホワイトルームだと思っている。資金力的にも、他の業者は入れない。ホワイトスペースで一番リードしているのは、マイクロソフトやグーグル、モトローラ。そこをアメリカがとったら、儲からないビジネスになってしまう。やられたままでいいのか。ここの活用や技術開発に力を入れなければ、またしても技術植民地化されてしまう。

岸氏:電波に限定せず、例えばクラウドコンピューティングは、ある情報のインフラ。そういう観点が抜けたまま、ホワイトスペースやオークションというのは、非常に怖い。

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■大きな方向性をどう示し見せていくか

金氏:あと15分ほど。会場のみなさんとの質疑応答をいれたい。

質問者1:政策に対する正しい理解がないまま議論されている。電波政策ビジョンを読まれているのか。周波数は定期的に見直す、駄目なところは取り上げようというのは5年前に打ち出されている。それを踏まえた上で議論していただかないと、10年前と変わらない。
テレビで空く所をどう利用するかについては、総務省が提案公募した。民間の事業者やメーカーがやりたいことを出してきた。その中にITSが入っていた。これは世界的に見ても珍しい。私が思う総務省の失敗は用途と必要な技術をわけず、NPO用だろうが、教育用だろうが、体系の整理をしなかったこと。EWP, WiMAXも比較的オープンにやってきたと思う。オークションは周波数とサービスの分離が前提だと思う。IEEEは米国の標準化だから米国人が議論することだと思う。ホワイトスペースは、カナダではルーラルで使うという議論になる。

質問者2:ITSの委員をしている。IPの流れになるから共通化できるものは共通化しようという話をしたが、ITSはピンポイントで来たので断り切れなかったという背景がある。周波数をどうするかという議論は、IT政策、国の成長政策に関わる。次世代を見極めた上での議論が必要だが、今日は、ホワイトスペースやオークションなど戦術的なところに行きすぎだと思う。

佐々木氏:先進国ではどうなのか。通信放送の融合問題でいうとリビングルームのテレビは今、ほとんどネットにつながれていない。全ての機器が無線ブロードバンド化されるのは、通信放送の融合の話の中で、画期的な出来事。その画期的な状況を生み出しえるのは日本。アメリカとは違うモデルを構築しつつありデジタル家電もある。国際競争力の回復というのも可能ではないかというのも見えつつある。
ハードウェア、Windows、Webブラウザ、クラウド等で、IT業界の日本の国際競争力の議論は終わり、後はいかに外資を防ぐかの暗い話のみだと言われていた。しかしリビングルームの家電に期待している。リビングルームだけでなく、他でも可能なのではないか。インフラを含めた形の議論をしていくことが必要だと思う。

池田氏:電波の話の前に大きなフレームワークの議論をすべきというのには全く賛成。FTTHと同等のインフラが可能になってきた。次はホワイトスペースでパブリックな無線ブロードバンドが出てくるかもしれない。有線の競争戦略も変わる可能性がある。

中村氏:日本はものづくりの力と表現力を兼ね備えた珍しい国。その総合力をもって世界に出るというのが正しい。新政権に望むことは、融合の促進、規制緩和、ソフトパワーの3つ。この政権にどこまで頼っていいのかわからない。日本が国際競争力を持って輸出モデルを作れる新産業を産学で取り組む必要がある。

岸氏:インフラはもう儲からない。コンテンツはモバイルだがこれも今ひとつ。結局、儲かっているのはプラットフォームの部分。ここを押さえるための競争政策が必要だろう。コンテンツはプラットフォームと結びつけばやりようはある。電波だけ効率的に配分すればうまくいくとは限らない。どのレイヤーを強くするのか。

関口氏:電波は関心が高いが、議論すべきは無線ではなく固定ではないか。例えるなら固定は公共交通機関で、電波は自家用車。電波の有効活用をするために、今まで無線でやってきたものを固定にもっていくことで通信コストを下げることも考える必要がある。90数パーセントまで光が来ているという国は世界に例がない。携帯の基本料金を家族5人で支払うと1万5000円。昔は1700円の固定料で1家族が使っていた。通信業者がお金を持っていき、日本経済を沈下させている。そこをもう一度み直す必要があるのでは。

國領氏:オープンワイヤレスのモデルにチャンスを与えるのが大事。長らく日本は垂直統合でやってきて、結構おもしろい文化を育ててきた。ブロードバンドもそうだし、ワイヤレスもそう。しかし、今までのモデルだけでいいのかというとそうではないと思う。今考えたいのは、オープンワイヤレスのモデルにきちんとチャンスを与えること。固定ブロードバンドも進んでいるし、ワイヤレスも卑下する必要はない。オークションは、オープンワイヤレスを実現するための手段の一つ。試しにやってみたら、と考えている。
さっきの池田先生のモデルを、もっと具体化して、実際にサービスを構築したり、電波を割り振ったりすることをテストベッド的にやることが必要。あとは、そういう事を通して、どういう大きな方向を示すかを簡単に見せることも重要なのだろう。

金氏:次回は今日の反省をふまえ、プレゼンなしで最初からディスカッションに入りたい。

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